ART DRUG CENTERについて ブログトップ

アートドラッグセンターこぼれ話(1):絵の凄さ、と、絵ではどうにもならないこと。 [ART DRUG CENTERについて]




アートドラッグセンターこぼれ話(1):

始まりはともかく、最終的に自己治療系の作家が多くなってくる。
どうして?といえば、エログロの作品を作ってると、必ず皆が言うらしい。
「有馬かおるって知ってる?アートドラッグセンター知ってる?」
そうやって、追っ払われ、めんどくさい人が集まってきました。
私が一番めんどくさくて、エログロだったからでしょう。
そして、皆で傷の開示をし、共有し、治療を目指した。

ただ、一人だけ、あぶれてしまった、あぶれさせてしまった。
んん?どこ目線?まぁいいか。



その人は、突然夜中に現れた。

外から私の名前を呼ぶ声が聞こえる。
夜中です。
住宅街です。
誰?
正直、どうしていいのか分かりませんでしたが、
夜中に大声で名前呼ばれたら、出るしかありません。

泥酔。
小柄だが、筋肉質。
多分30代。
知らない人。
誰かに紹介されたみたい。
で、
少し落ち着いた時に、
ポケットに手を入れました。

ゾクッ!。と、するよね普通。

観てくれ」と、何か渡された。

それは、
くしゃくしゃに丸まった広告。
広げると、裏に自分の左手を鉛筆で描いた絵。

分かります?この状況。

もうね、命がけで観ますよ。怖いから。

でもね、
素人が描いた、ただの左手ですから。

言葉を選んでは消し、選んでは消し。
たぶん、自分では10分とかそれ以上観てた感じ。

そしたらね、
泣き出したんです。

こんなに、真剣に長い間観てくれたのは始めてだっ」て。
それは、そうでしょう、私も始めてだし。

でも、
ああ、これで、いいんだ。
それだけでいいんだ。と感じました。

それで、
これからも、俺の絵を観てくれっていうから、
分かりました。でも、
今日みたいな、訪問の仕方は止めてください。
ギャラリーの営業時間に来てください。
「わかった。」と、


それから、どうなったと思います?


しばらく、音沙汰がないなあ〜と思ってたら、
ポストの中に、クシャクシャに丸まった広告発見。
左手の絵。

それが、数回。

ある夜。

声がする。名前を叫んでる。

泥酔の男発見。

いつもの絵。
どんどん、いい加減になってる絵。
少し話す。

数日後、ポストにアレ。

開いて驚いた。

「お前をなぐらせろ!」

え?

なに?これ、恐!

その夜、彼はやってきた。
営業時間に!

そして、私に言う。

「お前を、殴りに来た!」

ぽかーん!。です。
怖いです。
意味が分からんし。

「理由は何ですか?」と聞きます。
当然です。

彼は「分からんのか!」と繰り返す。
私は「分からない。」と繰り返す。
心臓バクバクです。文科系ですから。

「表に出ろ!」
「なぜですか?」

彼は本気でした。
シラフでした。
聞いた話では、カラテをやってるそうです。
彼は本気で殴るでしょう。

理由の無い暴力。
暴力による会話。
今の私には無理。
受け入れる事はできない。

そんな話をしたと思う。

「残念だ。」

「今まで、ありがとう。」

そう言って、握手を求めてきました。



握手。



それ以来、彼は来ませんでした。





絵の凄さ、と、絵ではどうにもならないこと。





蛇足:

実は、後で理由が何となく分かりました。
さすがに私も凹んだので、紹介者に色々聞きにいきました。
もの凄くプライベートな事だし、推測なので書けません。

いやいや、
結局謎のままなのかもしれない。
答えが欲しいから、都合のいい答えにしたのかもしれない。
紹介者に包み隠さず話し、二人で考えたけど、
まったく、分からなかったし、

彼が来てた時、友達とか何人か来てて、
二人の会話を皆が聞いてたんだけど、
皆も意味が分からなかったみたいだし。

っていうか、助けにこいよって話だけど、
「だって怖かった」じゃない!だろ。
「なんかあったら、助けに行く、つもりだった!」?
何かあったら、遅いんだよ!

もう、文科系は!






http://artdrugcenter1996.blogspot.com/





共通テーマ:アート

アートドラッグセンター10年史 [ART DRUG CENTERについて]





誰も待ってなかったし、気にもしてなかったと思いますが、
アートドラッグセンター10年史」1996−2006年(犬山まで)制作しちゃいました。

http://artdrugcenter1996.blogspot.com/

大変疲れました。

この情報社会において、何がどう転ぶかわかりませんが、
無いよりは、いいだろう。ってことです。

制作していて分かった事は、
本当に多くの方に、支えられてたんだ!ってことです。
この場を借りて、お礼を申し上げます。



今、私自身は、関東で一から始める感じになってて、
くじけそうですが、何でも10年やれば何とかなる!はずです。

年齢は関係ない。
言い訳に使いたくない。

???


なぜ、こんなテンション?!


で、

おわってみる。






タグ:ART DRUG CENTER

共通テーマ:アート

「アートは人の心を治療する薬」から名付けた。 [ART DRUG CENTERについて]

ADCマーク丸.jpg


アートドラッグセンター(1996〜):

キワマリ荘内に作られたスペース。「アートは人の心を治療する薬」から名付けた。

なぜ立ち上げたのかと言えば、貸し画廊で4回展覧会をしてて、一回に20万。4回目の時、ボーナス全部突っ込みました。無理言って、最終日だけ休みとって、皆と「ひさしぶり〜」みたいな事言ってたら、搬出。なにしてるんだろう?って考えて、、、、、る、うちに、20万たまり。
そのお金で、自分がギャラリーできないかな?が始まり。

この場所は、作家志望というより自己治療を目的とした展示が多い。
というか、多くなっていく。
展示期間は二か月ベース(三ヶ月すぎると作品が壊れだすからだけどね)。
面白い展示をしても、一週間では観に来れない。口コミで聞いても展示が終わってる。
遠くても(名古屋から急行で45分)面白ければ、必ず来てくれるはず。と願いをかけた。
正直、始めは誰も相手にしてくれないし、馬鹿にされました。で、本気を伝えるために、マークを考え、マップをきちんと作成した(当時は凄かった)。
レンタル代は二ヶ月4〜8万。学割、展示期間などによって変化する。
今でこそ普通であるが、当時、スペース運営や宣伝活動を作家がする事にかなりの批判が集中した。



自分の展示に満足した人は、この場所を去る時もある。
それでいい、アートは趣味で良い。
「絵描きの絵、書家の書は好きじゃない。」と、昔の偉い人が言っていた。

作品を見せてもらう時、
「あなたは、趣味?作家志望?作家?どれですか。」と、先に言う。
趣味ならば、面白い所を褒める。
作家志望ならば、「それは、趣味と同じです。
さらに立ち位置が曖昧なので、何も言えません。」
作家ならば、思った事を正確に伝える。
この部類の人ならば、批評と悪口の区別はつくだろう。

辛口は言う側にもリスクを伴う。信頼関係が必要だ。
だから、付き合いが長いほど辛口に成る。
ゆえに、褒められれば嬉しい。だが、
判断間違えると、「あの人に、こんな悪口言われた!」と、
陰口言われたり、ブログに書かれたり大変だ。
作品を見て語る事は、作る事と同じだと思う。

プロには、世界中に競争相手がいて、サメみたいに生きている。
努力は日常に成り、何かを目指している。

犬山を引っ越す時、とてもお世話になった方から大切な言葉を貰った。
「全ては覚悟の問題だ。」
その通りだ。スルメみたいな言葉。

「鑑賞は真剣勝負だ。俺が死ぬか、お前が死ぬかだ。」
そんな事も言われたな。
とても厳しいやり取りだった。
今はひとりで、やらないと、なまけているなぁ。

話を戻そう。

こんな事もあった。
あの質問の後、黙って帰ってしまったMさんがいた。
わざわざ次の日に来て、「私は、趣味です!」と言った。
目が自信に満ちていて、力強かった。
とても感動した。
Mさんは就職し結婚した。
もちろん、絵も趣味で続けている。




詳しくは下記のアドレスへ

http://artdrugcenter1996.blogspot.com/



共通テーマ:アート
ART DRUG CENTERについて ブログトップ

有馬かおる

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。